「腸が荒れると肌も荒れる」と言われるように、腸内環境と肌の状態は密接に関係しています。腸がきれいになると肌もきれいになるのはなぜなのか、そのメカニズムを知れば、きれいにする方法もわかります。
腸がきれいになると肌もきれいになるメカニズム
腸内には約100兆個もの細菌が棲んでいますが、その細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられ、それぞれ次のような特徴を持っています。
善玉菌：腸の運動を促進して消化吸収を助け、有害な細菌の侵入や増殖を防ぐ。
悪玉菌：腸内の内容物の腐敗を進め、有害物質を作り出す。
日和見菌：通常は無害だが、善玉菌か悪玉菌のどちらか優勢なほうの味方をして働く。
腸がきれいな状態とは、善玉菌が優勢で腸内環境が良好な状態を指します。
しかし、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増えると、食べたものが腐敗し有害物質や活性酸素を発生させます。
有害物質や活性酸素は、腸内環境をさらに悪化させるとともに腸管内で吸収され、血液を通して全身に運ばれます。
その結果、末端組織である皮膚にも悪影響を与え、吹き出物やシミ、シワやたるみなどのさまざまな「肌トラブル」を引き起こします。
しかし、善玉菌が増えて腸内環境が改善すると、悪玉菌による腐敗物質の産生が減少し、新陳代謝が促進されるので、皮膚の状態も徐々に改善します。
腸をきれいにする方法
腸内細菌のバランスを整えてきれいにし、健康な状態にすることを「腸活」と言っていますが、その方法として次のようなことがあげられます。
腸内環境を整える食品を摂る
腸内の善玉菌を増やす働きのある食品を積極的に摂るようにすると、腸内の環境が良くなり肌にも良い影響を与えます。
ヨーグルトや納豆、味噌、漬物などの発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌が多く含まれ、腸内の善玉菌を増やすことができます。
また、野菜や果物、海藻類に含まれている食物繊維には、腸内の有害物質の排出を促進し、悪玉菌を減少させる働きがあります。
便秘や下痢を防ぐ
便秘や下痢は、腸内環境悪化のサインです。
腸内で悪玉菌が優勢になると、腐敗物や有害物質が発生し、大腸のぜん動運動を弱めスムーズな排便を阻害するため便秘になります。さらに腸の粘膜の毛細血管を通して有毒物質が全身に運ばれるため、吹き出物やニキビなどの肌荒れの原因になります。
また、腸内に溜まった大量の有害物質を早く排出しようとして、ぜん動運動が活発になり過ぎた場合は、下痢の症状が表れ、有害物質と一緒に善玉菌まで流されてしまうため、腸内環境はさらに悪化します。
便秘や下痢を防ぐことが、肌をきれいにすることにつながります。
適度な運動をする
腸内環境と運動は関係ないように見えますが、決してそうではありません。
運動不足が続くと、腸の活動も弱くなり悪玉菌が増えて来るからです。すると、腸内環境が悪化し便秘や肌トラブルを引き起こしやすくなります。
毎日、適度な運動を継続することにより、全身の血流が良くなり腸の活動も活発化します。
激しい運動をする必要はなく、ウォーキングなどの有酸素運動やお腹まわりの筋肉を動かすストレッチなどが効果的です。
また、おへそを中心に時計回りにお腹のマッサージをすると、腸を刺激し、ぜん動運動を促す効果が期待できます。
リラックスする時間を作る
腸の運動は自律神経と大きくかかわっており、副交感神経が優位なときはぜん動運動が活発になり、消化が進みます。
逆にストレスなどで交感神経が優位になると、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が優勢になり、食欲が低下したり、便秘や下痢を引き起こしやすくなります。
ゆっくりと入浴したり、好きな音楽を聴くなど、意識してリラックスできる時間や環境を作るようにすると、腸内環境が整いやすくなります。
睡眠をしっかりとる
夜になると眠くなるのは、睡眠ホルモンとして知られている「メラトニン」の作用によるものですが、「メラトニン」の材料となる「セロトニン」の95%は腸でつくられています。
腸内細菌の数が多く、善玉菌が優勢であるほどセロトニンが正常に分泌され、メラトニンの生成も盛んになるため睡眠の質が良くなります。
睡眠をしっかりとることができれば、副交感神経の働きが高まり、睡眠中に腸の働きも活性化して老廃物や有害物質の排せつが促進されます。
また、深い眠りである「ノンレム睡眠」中は、肌の再生・修復が進むため、さまざまな肌トラブルが解消に向かいます。