ある日、ふと気づくとテレビの音が聞こえにくいことがあります。
また、健康診断の聴力検査で聴力が落ちていることに気づくことがあります。
聴力低下の原因には単に耳アカがたまっているだけという簡単なものから、耳の内部の炎症、難聴、メニエール病など、中には治療が必要なものもあります。
耳が聞こえにくくなる・聴力低下の原因
耳アカがたまっている
耳アカは、自然に耳の穴から外へ排出されるようになっていますが、何らかの原因で外耳道に詰まってしまうことがあります。
それが原因で耳が詰まったような感じになり、音が聞こえにくくなります。
耳の構造上の問題や耳アカの性質(硬かったり柔らかかったり)にもよりますが、幼児や高齢者に多く見られます。
この場合、耳鼻科にて耳アカを吸引してもらえば、聴力も元に戻ります。
内耳や中耳の炎症
風邪やインフルエンザなどのウイルスや細菌に感染することによって、内耳や中耳に炎症が起こり、耳が聞こえにくくなることがあります。
中に膿が溜まるため、耳の痛みと発熱、難聴を伴い、鼓膜が破れると粘液性の黄色っぽい耳だれが出ます。
慢性化膿性中耳炎の場合は時間はかかりますが、多くは耳鼻科などで治療を受け、炎症が治まれば聴力も回復します。
大きな音・騒音
職場などで長時間騒音の中にさらされていたり、ヘッドホンやコンサートで大音量の音楽を聴いた後などに、耳が詰まった感じになり、聞こえにくくなることがあります。
これは、内耳の蝸牛(かぎゅう)の感覚細胞が大きな音や衝撃によって損傷を受けたことが原因で起こるもので、早期治療により改善することもあります。
急激な気圧の変化
飛行機の離着陸時やエレベーターの急下降時に、一時的にキーンといった高音の耳鳴りがしたり、音が聞こえにくくなることがあります。
これは急激に外の気圧が変化したため、鼓膜が内側に押されることにより起こるもので、心配はありません。
鼓膜の異常
耳かきをしていて中まで突いてしまったり、耳を何かにぶつけたり、ぶたれたりした場合に急に聞こえにくくなることがあります。
この場合、鼓膜が損傷している可能性があるため、早急に耳鼻科を受診して検査を受けるようにしましょう。
また、鼓膜に炎症が起こる「鼓膜炎」の場合も難聴になることがあります。
精神的ストレス
精神的なストレスから難聴になることがあります。
身近な人の死や失恋など、大きな精神的ショックは、自律神経に影響を与えるため難聴を引き起こすと考えられています。
また、学校や職場でのいじめにさらされたり、介護による疲労、睡眠不足などもストレス性の難聴の原因になることがあります。
このような難聴を治すには、まず精神的な安定を取り戻す必要があります。
片方の耳に起こる突発性難聴
突然、片方の耳に金属音のような激しい耳鳴りと難聴が起こるものを突発性難聴と言っています。
中高年に多く、約半数に回転性のめまいをともないます。
ウイルス感染や内耳の血流障害、過労、ストレスが引き金になることがあります。
突発性難聴は、重症化すると耳がまったく聞こえなくなることもあるため、発病してから一週間以内には治療を受けるようにしましょう。
内耳や神経の老化
加齢に伴い、誰にでも起こり得るのが、内耳や神経の老化による「老人性難聴」です。
音を感じる器官である内耳の感覚細胞の数が加齢とともに減少するため、50代、60代を過ぎた頃から徐々に耳が聞こえにくくなります。
両耳同時に聴力が落ちることが多く、特に高音域が聞き取りづらくなり、キーンという高音の耳鳴りをともなうこともあります。
これは生理的な現象であり、病気ではありませんが、日常生活に不便を感じる場合には、補聴器などを使用してみましょう。
薬の副作用
何らかの持病があり、薬を使用している場合、その副作用で難聴やめまい、耳鳴りが起こることがあります。
これは、薬の作用で内耳の感覚細胞に障害が発生するためと考えられています。
難聴を起こすことが知られている薬には、一部のリウマチの治療薬や利尿薬、抗生剤、抗がん剤などがあります。
メニエール病
自分や周囲がぐるぐる回るような激しいめまいと同時に、片方の耳にだけに耳鳴りが起こり、難聴の症状が現れるのがメニエール病です。
特に低い音が聞き取りにくくなり、強い吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
内耳のリンパ液の異常が原因とされ、発作が起きた後、適切な治療をせずに放置すると、耳鳴りや難聴が進行しがちです。
その他の病気によるもの
その他に、耳が聞こえにくくなる原因として、聴神経腫瘍、耳硬化(じこうか)症、耳管狭窄(じかんきょうさく)症、外リンパ瘻(ろう)などの疾病があります。