乗り物酔いをしやすい方は、日頃からバランス感覚を鍛えるようにすると克服できる可能性があります。
「動揺病」とも呼ばれる乗り物酔いは、身体のバランスを保とうする「三半規管」の機能を強化することにより、酔いにくくなるからです。
乗り物酔いとバランス感覚の関係
私たちの身体には、常にバランスを保とうする平衡感覚が備わっていますが、この平衡感覚は内耳にある三半規管によって調整されています。
三半規管内のリンパ液は、乗り物の揺れや振動を感じ取り、その情報を脳に送ります。
脳は視覚や聴覚、筋肉、関節などから送られてくる情報も同時に受け取りますが、身体が動いてないのに景色がめまぐるしく変化したり、持続する激しい揺れや振動で混乱してしまいます。
この脳の混乱は、血圧や呼吸、胃腸の働きなどをコントロールしている自律神経に影響を与え、頭痛やめまい、吐き気などの不快な症状を引き起こしますが、これが「乗り物酔い」です。
そのため、乗り物酔いを克服するためには、日頃からバランス感覚を鍛えておくことがポイントになります。
バランス感覚を鍛える方法
バランス感覚を鍛えるには、三半規管を鍛えて平衡感覚を養うことが大切ですが、それには次のような方法があります。
目を閉じた状態で歩く
周囲に障害物がないことを確認後、目を閉じた状態で歩く練習をすると、三半規管を鍛えることができます。
目や足の動きと三半規管は連動しているため、何にもつかまらずに歩くだけで、身体がバランスを取ろうとするからです。
後ろ向きの状態で歩く
後ろ向きの状態で歩くと、普段使わない筋肉が使われ、脳や神経もいつもとは違った刺激を受けつつ体は安定させようとするため、バランス感覚を養うことができます。
慣れてきたら、目を閉じて後ろ向きの状態で歩くトレーニングをすると、さらに効果的です。
ただし、周囲に障害物がないことを確認し、安全を確保してから行ってください。
寝返り・でんぐり返しをする
ふとんやマットレスの上などで、何度も寝返りを繰り返したり、ごろごろと転がったりするのもバランス感覚を鍛える方法としておすすめです。
前方または後方に1回転する「でんぐり返し(前転や後転)」も、三半規管の機能強化につながりますが、小さな子どもの場合は大人が補助するようにしましょう。
回転椅子に座って回る
回転するタイプの椅子に座ってぐるぐる回ると、三半規管が鍛えられバランス感覚を養うことができます。
最初は気持ち悪くなることがありますが、慣れて来たら左右交互に回転させたり、スピードを上げたりしてみましょう。
片足立ちをする
片足で立つと重心が不安定になりますが、安定させるために体幹部のインナーマッスルほか多くの筋肉が使われ、三半規管のトレーニングにもなります。
最初は、目を開けて行う「開眼片足立ち」を行い、慣れて来たら目を閉じて行う「閉眼片足立ち」もおすすめです。
バランスボールを利用する
中に空気が入っているバランスボールは巨大なゴムまりのような形をしていますが、弾力があって不安定なため、その不安定さを利用してバランス感覚を鍛えることができます。
バランスボールに座ると微妙に体が揺れますが、この揺れに対応するために三半規管が鍛えられるほか、体幹に関係する筋肉が働いて姿勢を正しく保とうとするので、体力づくりにも役立ちます。
アマゾンや楽天市場では、色々なサイズのバランスボールを取り扱っているので、通販で手軽に購入することもできます。
トランポリンを利用する
トランポリンの上でジャンプをすると他の運動では得られない浮遊感を体感できますが、体幹や三半規管が自然に鍛えられ、バランス感覚も磨かれるようになります。
近年では老若男女、誰もが楽しめる運動として普及していますが、特に子どものうちからトランポリンに慣れ親しんでおくと、車酔い防止のトレーニングにもなります。
アマゾンや楽天市場では、手すり付きのものや四角いクッションタイプのトランポリンなど、色々なものを取り扱っています。