「もう何年も泣いたことがない」という人は、とても我慢強い反面、過剰なストレスを抱え込んでいる可能性があります。しかし「意識的に泣く」ことによって、気分がスッキリし、ストレスが解消されることがわかってきました。
意識的に泣いて、ストレス解消につなげる活動を「涙活(るいかつ)」と言っていますが、日常生活の中にこの涙活を取り入れることが、心の健康を保つヒントのひとつになります。
泣くことによってストレスが解消するのはなぜか?
「泣くこと」は、脳の自律神経の働きと大きくかかわっています。
緊張や怒り、興奮などで頭の中がいっぱいになっている時は、自律神経のうちの交感神経が優位な状態にありますが、「泣く」ことによって神経が落ち着き、リラックスモードの副交感神経が優位な状態に切り替わります。
副交感神経は、もともと睡眠中に最も活発化し心身を休ませる働きをしますが、意識的に泣くことによっても同様の効果が得られることがわかってきました。
そのため、泣いた後はスッキリとした気分になり、心の中にモヤモヤと溜まっていたストレスも、解消されるということになります。
ストレス解消のために効果的に泣く方法
目にゴミが入ったり、玉ねぎが目にしみたり、花粉症で涙が出たりといった場合は、ストレス解消にはつながりません。
ストレス解消を目的とした効果的な「涙活」のポイントとしては、次のようなことが挙げられます。
思いっきり泣ける場所を選ぶ
周囲の目を気にしながら、あるいは周囲に気付かれないように「そっと泣く」という状態では、ストレスが解消しないばかりか、よけいにストレスが溜まってしまう可能性があります。
涙活をするためには、まずは思いっきり泣ける場所を選びましょう。
家族が気にならなければ自宅や自分の部屋、お風呂の中、人のいない浜辺や原っぱ、自家用車の中などが良いかもしれません。
つらかった過去を思い出す
悲しい事やつらい事があった時、本来ならその場で気の済むまで泣いたほうが心がスッキリしますが、なかなかそうも行きません。
悲しみや痛み、苦しみ、怒りなどの負の感情を抑え込んでしまうと、知らず知らずのうちにストレスとなって蓄積し、日常生活にも影響してきます。
涙活の一環として、このような負の感情を呼び起こし、思いっきり泣くことにより、「心の浄化作用」が起こります。
涙と一緒に溜め込んだ感情が流れ出し、スッキリとして前向きな気持ちになることができます。
悲しい映画や動画を見る
悲しい映画や動画を見ると、涙が出てくることがありますが、そのような時に出る涙を「感動の涙」と言っています。
その作品の世界に入り込み、登場人物に感情移入することで自然に涙が出てくるもので、この場合は声をあげて泣かなくても、心が浄化され快感(カタルシス)を得ることができます。
その結果、日常生活で溜まったストレスが解放され、心が軽く晴れやかになります。
映画や動画ばかりでなく、音楽や朗読を聴いたり、小説を読んだりして感動した場合も、同様なことが起こります。
自分に合う時間を見つける
涙活を行う時間は、朝や昼より夜のほうが効果的と言われますが、人により異なるので、自分に合う時間を見つけましょう。
1日の活動を終え、心身ともに疲れきった夜に、色々な負の感情を爆発させ解放することができれば、ストレス解消にもなり熟睡できるという方もいます。
しかし、逆に感情が高ぶって眠れなくなってしまい、さらにストレスが溜まって、翌日まで引きずってしまうという方もいます。そのような方には、昼かまたは郷愁を誘う夕方がおすすめです。
涙活イベントに参加する
「泣く」ということが心身の健康に良いことが広く知られるようになり、今では全国各地で「涙活イベント」や「涙活セミナー」などが開催されるようになりました。
ひとりで意識的に泣こうとしても、なかなかうまく行かないという方は、このようなイベントに参加すると、不思議と自然に泣けるようになります。
周囲の人が泣いている状況下では、人前であっても「恥ずかしさ」や「遠慮」というものが取り払われ、自分の自然な感情を表出できるようになるからと言われます。
多くの場合、イベントに参加後はストレスが解消され、「免疫力がアップした」という方もいます。